6 Jun, 2005「ジョットの鐘楼の日本人」
■日本語ペラペラ...。

6時に自然に目が覚める。
毎晩早く堕ちる(眠る)ので、起きるのが早い。
シャワーを浴びてから、しばらく日記を書く。

朝食が始まる8時丁度にダイニングに行こうと思っていたが
TVでMOTO GPのニュースが始まるのが解ったので、しばしウェイト。
ロッシ、ビアッジ、カピロッシのイタリア勢表彰台独占。
やっと映像が見れた。抜きつ抜かれつの面白そうな争い。
現地のレースを見逃した感、更に増大...。

8時少し過ぎにダイニングのテーブルに着く。
イタリアで2回目、今回3回目のバイキング形式。
内容は、まぁ、普通。
GENIOの時ほど嬉しさが無い。微妙に並んでいるモノが少ないかな?

チェックアウトするときに、
フィレンツェ出発まで荷物を預かってもらうことにした。
今朝のフロントマンは夕べ居た人より厳つい顔をした人だが、
すごく物腰が柔らかく、挨拶程度の日本語が解るので親しみを感じる。
iBookの入った重いリュックを背負わずに歩き回れるのは助かる。
「キヲツケテ!」
と、送り出される。

昼間のフィレンツェは、夜とは随分印象が違う。
夜はオペラでも始まりそうな荘厳な感じがしたが、
昼間は賑やかで活気のあるラテンの観光都市という感じ。
でも、適当に賑わっている度合いが、なぜか妙に落ち着く。
やはり建物の雰囲気のせいか?

まずはフィレンツェの街が見渡せるという、
ドゥオモの隣にある「ジョットの鐘楼」に登ってみることにする。
やっぱり美しいこの街を一望しておかなければ!
ドゥオモのクーポラの屋上にも出られるらしいけど、
やはりドゥオモ越しに街を眺める方が良いでしょ。

入り口に立っていた、身体の大きい係員に(警備員かと思った)、
「UP? OK?」と、上を指差して聞くと?
(なんだかどんどんカタコト単語英語が適当になってくる...)
「Welcom.」と。
入館料は6ユーロ。

外壁と内壁(勿論石造り)の間に挟まれて階段がある感じ。
階段の途中に時々に現れる、
30cm角程の四角い窓(勿論ガラスは無い)から外が見えるので、
どのくらいの高さまで登って来ているのかが解る。

ほんの2分程だろうか?
あまり疲れずに広いフロア(?)に出る。
周りを見ると意外と低い。
「これで6ユーロ?」
しかもフィレンツェは見渡せるどころか、周りの建物の屋根より低い。
天井は遥か彼方の高い位置にあるのだが....。
一応、4方向から見た街を写真を撮っておこう。
フロアの4面の大きな窓(当然ガラス無し)から、周辺を撮る。
ドゥオモも屋根はずっと上の方だ....。
しかし、さっき居たはずの観光客はもう降りたのだろうか?
このフロアには、気がつくと僕しか居ない。

「あれ?」
4つ目の窓に来たとき、窓枠の横に階段の入り口がある。
フロアの真ん中からは見えなかった。
あぁ、まだ上がれるじゃん。
そりゃそうだな。塔の高さに対して展望台が低すぎる。
先の観光客もここから登っていったんだろう....。
登る。

先ほどより少し幅が狭い階段。
さっきと同じくらい段数を登ると、今度は一回りフロアが小さくなる。
下から見たときは気づかなかったが、
上に行くに従い、だんだん建物が細くなっているようだ。
少しだけ息が切れてきた...。
さっきよりは高い....が、
やはりフィレンツェを一望できるという感じでは無い。
ただ、中心は吹き抜けになっていて、下を見るとさっき居たフロアが見え、
微妙に足下がすくむ。
でも、やはり塔としては高くは無いよなぁ〜...などと思いながら、
やはり先ほどと同じように4方向の窓から街の写真を撮る。
....と、
また、窓枠の横に階段の入り口が....。
そうだよな。フィレンツェを見渡せるはずだもんね。
階段の幅が更に狭くなる。
途中途中にある小窓から吹き込む風が、少し強くなってくる。
高い所に上がっていく実感が出て来る。

フロアは更に狭い...。
そして足下はには下から見えた鉄の格子状の蓋があり、
そこから下のフロアが丸見え。ちょっと怖い。
しかもかなり風がヒューヒューと吹き荒れている。
さすがに高いなぁ....。
一応、周りの建物より頭ひとつ高い感じ。
ちょっと足がすくむので、あまり端っこで写真が取れない。
でも、同じように4方向のフィレンツェを撮る。

....と、
また、窓枠の横に階段の入り口が....。
だよねぇ〜。
先に行った人に全然会わないもんねぇ〜。
一瞬これ以上登るのを躊躇う。
ためらうが、やはり最後まで行かねば...と覚悟を決め...。
更に狭く暗い階段。
風はどんどん強くなってくる(気がする)。

ついに最上階に出る。
さすがにかなり狭いフロア。
相当息切れしてくる。狭く暑い階段を上がって来たので、汗もかいてる。
受付のような所にお姉さんが座っていて、
絵はがきなんかの土産売り場がある。微妙に違和感。
って言うか、こんなところに一日ずっと居るの?

ここは大きな窓から外を眺める形では無く、
外側を一周しているベランダに出られるようになっている...って、
この高さで外に出るのかぁ.....(笑)
とは言え、ここで帰るなんて勿体無いことも出来ず、
お土産売っているフロアから3〜4段階段を上がり、ベランダに出る。
風がかなり強烈。

「ハァ〜、疲れた....」

と、思わず日本語でつぶやくと、
ベランダに出た真横に、明らかに日本人と解るカップルが居て、
こちらを見てニコニコしている。
「日本人の方ですよね?」
なんだか久しぶりに日本語で話した気がする。
Nさんと別れてからまる3日と経っていないのに。
飛行機とホテル以外はフリーというツアーで来たという。
大阪のカップルだった。

「高い所は大丈夫ですか?」
「イヤイヤ、相当ダメで...」なんて答えたが、
彼等は本当に苦手なようで、
ベランダの壁(屋根)側にへばりつくように立っていた。

久しぶりに思い通りに言葉を使えたせいか、
これまでの旅話をペラペラと『流暢な日本語』で話す。
いや、僕の場合、日本語もあまり流暢では無いんだけど...。

しばらく眺めのよい(本当にフィレンツェが一望できる。
ガイドブックは嘘を書いてなかった)場所で、
....10〜15分くらいだろうか?....話をしていたら、
すっかり高さに慣れてしまった。

「そろそろ記念写真撮りましょうか?」

ドゥオモや街をバックに写真を撮るためには、
腰程の高さしか無い手すり側に立たなければならない(金網はある)。
彼等は僕が来る前からドゥオモをバックに写真を撮ろうとしているのだが、
中々高さに馴染めないようで、まだ壁から離れようとしない。
僕の一声で決心がついたのか、
数十秒掛かって、ようやくドゥオモをバックに立てた。
カメラを借りた僕は、下に広がる街並みもちゃんと入るように、
ベランダの手すりの上に立ち、少し俯瞰のアングルで彼等を撮った。
そのくらいなんでもなくなる程、すっかり高さに慣れていた。
(勿論、金網があってこそ...だけど)
いやぁ、飛行機の揺れも、高いところも、
なんでも人間って慣れちゃうもんだなぁ....と。
もしかしたらバンジージャンプもイケるかもしれない。
いや、ゴメンなさい。ウソです。それはたぶん無理。

ひとときの日本人との会話を(言葉のストレス無く)楽しんだあと、
ベランダを一回りして先に降りた。
(僕が撮った写真を後で送ってあげようとメアドを教えたんだけど、
 連絡無いなぁ....。無事に帰ったかな?)

途中、上がってくる日本人のカップル2組に別々の場所ですれ違う。
階段が狭いのでちょっとよけて通路を譲る動作をすると、
2組とも同じように「Sorry...」と言ってくれるので、
「いえいえ」と日本語で返すと、何かホッとした笑みを浮かべる。
微妙におかしい。

勿論、外国人が登って来た場合は、「Prego.」とゆずり、
息を切らしながら「まだまだ先?」と聞いてきた白人のおばさんには、
「Last one floor !」と励ます。
あぁ、なんだかインターナショナル....な、僕(笑)
6 Jun, 2005「ジョットの鐘楼の日本人」End.

ダイニング。まぁ、普通。バイキングで選べる品数が少ないかも...。

今日の朝食はこんな感じ。

エレベータの「ドア」。

ホントに「ドア」。手で開ける。降りるときは反対側だったりするし、やはり手動なので、待っているといつまで経っても降りれない。しかしこの壁の屏風模様は..。
ドアを止めてるリュックは今回の僕のパートナー。結構小さい。

HOTEL UNICORNOの入り口。看板に気をつけていないと確実に見落とす。

毎度の伝票。80euro=約¥11,000と考えると...やはり観光地価格か。

「ジョットの鐘楼」。高さ84mの塔。14世紀末のゴシック建築の傑作....らしい。

鐘楼のあるDuomoの広場には、観光散策の馬車が...。

入館料は6euro。

最初のフロアから上を見上げた絵。天井の格子状の蓋の上に行けると思ってなかった。

そして、その格子状の蓋の上から下を覗いた絵。写真が伝わらないけど結構高い。

置いてあった鐘(予備?)越しのドゥオモの屋根。

最初のフロアから見たDuomo。どの窓からも町並みなんて見えやしない。

二番目のフロアから見たDuomo。まだ、高いとは言えない。

三番目のフロアから見たDuomo。少し高くなって来たかなぁ〜という気はしてくる。(風も強くなって来て、実はちょっと怖い)

一番上に来ると、この高さ。やはり高い。

左下の広場の白いテントは、夕べ食事をした場所。

間違い無くフィレンツェの町並みが一望。ガイドブックの言う通り。真ん中の塔のある建物は「ヴェッキオ宮殿」。
高さに慣れた後は、強い風すら気持ちよかった。

塔の一番上で長話をした日本人カップル。聞かなかったけど、もしかすると新婚旅行だったのかな?