■美味そうに見えない店なのに....。

市場での革ジャケ危機をなんとか乗り切り、
辺りの通りをゆっくりと歩き、
11時頃、預けていたリュックを受け取りにホテルに戻る。
結局、MOTO GP記事入りの新聞は見つけられなかった。

僕の唯一の荷物であるリュックを出して貰いつつ、
折角親近感を持てるフロントマンで話しかけ易いので、
最後に「Prego」のことを聞いてみることにした。
夕べのデイブ似のウェイターに聞いたように、
"prego"は、英語の"please"の意味で良いのか？と聞くと、
「No, No」と。
"prego"は、"welcom"だと言う（教科書通りだ）。
"please"をイタリア語で言うと「per favore」になると。
そっか.....。
そもそも"please"もいろいろ意味がある。
すがるような目をして「Please !」と言えば、「お願い！」だし、
行き先を案内するように手を出して「Please」と言えば、「どうぞ」だ。
昨日、ウェイターに僕が聞いたときのシチュエーションは、
まさしく「どうぞ」という意味で聞いた感じだ。
どっちの説明も正しい...と納得。
ようやく使えるpregoをゲット！

「アリガトウ。Graziie!」と挨拶と握手をし、駅に向かう。

フィレンツェ・チェントラーレのチケット売り場は、
当然のように旅行者らしき人達が結構並んでいる...。
...が、25分で切符が買えた。予想より早くて嬉しい（笑）

ベネツィア行きのインテルシーティ出発まで１時間ほど時間がある。
１時間もあれば、いくらなんでも今日は乗り遅れんだろう....。
という訳で、構内のセルフサービス（自分で料理を取っていく店）に入り、
リゾットとTボーンステーキ（豚肉）を選ぶ。
リゾットをすくってくれたおばさんが何か言っている。
「ン？」という顔をしていると、
隣のおじさんが、「パルメザンチーズ！」と叫んでくれた。
あぁ、おばさんは「パルミジャーノ」って言ってたらしい。
「Per favore !」と叫ぶ。
で、そのおじんさんには、Tボーンステーキの前の料理を指差したつもりが、
その奥にあったTボーンステーキを皿に乗せてくれた。
一瞬どうしようかと思ったけど、そっちでもいいか....と。
いや、皿に乗せて出されたら、ちょっと美味しそうだったんで...。

レジに並ぶと、レジ係の女の子が可愛い...と、せめて日記に記しておこう。
さすがにここで写真を撮れなかったんで...。

テーブル席が沢山並んでいる広いフロアの壁側に陣取る。
２つ程先のテーブルで、日本人の２人組のおばさんが、
やはり日本人のイマドキの若い男と話をしている。
なんだかこの組み合わせが異質で気になる。
明らかに親子でも無ければ、同じツアーの客にも見えない。
とは言え、わざわざ近寄って聞くまでのことでは無いんだけど...。

さて、食事。
こんな場所なのに、結構美味い。
日本で言えば、ちょっと前の社員食堂....って感じのテキトーなレストラン。
その、雰囲気と味とのギャップがまた美味さを倍増。
そう言えば、リゾットとは言え、機内食以来の米の飯だ。
パリ以来、ひとつぶも米を食べてなかった。
かと言って、とにかく白米が食べたくなる程には、まだなっていないけど。

ゆっくりご飯を食べ、日記を少し書き、出発15分程前に店を出る。
列車に乗り込む前にトイレを探す。
ホームの端の方に有料（70ユーロセント）トイレがあった。
駅構内はそれほど清潔という感じでは無いが、
さすがに有料トイレの中はそれなりに清潔。
コインを入れるとガラスの自動ドアが開く。

トイレに入ると同時に急におなかが少し痛い状況に陥る。
出発まで10分を切ってちょっと焦る。
電車の中でどうしようもなくなるのも嫌だし...。
でも、結局トイレを出たときには、なんでも無くなってた。

さて、今度はトイレから出るとき、出方が解らない。
僕の前の人も、入り口の扉が開かないので前でオロオロしている。
（たぶん係の）おばさんが「ボタンを押すんだよ」（と言ったと思う）と、
前で迷っていた人に教えて、呆気なく終了。

ホームの掲示板を見ると、まだbin（binario:番線）が表示されていない。
どうやら列車が遅れているらしい。
側にいた恰幅の良いビジネスマン風のオジンさんに、
掲示板にある「rit」とという項目の意味を聞いてみた。
やはり遅れ（イタリア語でritardo）の略だった。
25分の表示が出ている。

カフェに入る程の時間でも無いが、座れる場所が空いていない。
仕方なく、掲示板下の壁際に立って待つ。
その横で日本人女性（たぶん30代位と40代位）二人が何やら話している。
聞こえてくる内容は、MOTO GPの話題だ。
どうやら昨日、ムジェロで見て来たらしい。
随分古いネタから話をしていたので、相当なGPフリークか、
或は何かのレース関係者かもしれない。
同じ日本人ということより、話題がMOTO GPのことなので、
話しかけようかどうしようか迷っていると、
どうやら列車が来たらしい。

縁が無かったようで....。