7 Jun, 2005「HOTEL PIEMONTES」
■イタリア最後の晩餐

目が覚めたときには、バスは城壁の外側の坂道を下っていた。
そこから5〜6分後、チッタ・バッサの中心と思われる
ビア・ガブリエレ(ガブリエレ通り)という停留所で降りる。
ちなみに、「チッタ【citta】」は町とか市街、
「アルタ(アルト)【alta,alto】」は高いとか高地、
「バッサ(バッソ)【bassa,basso】」は低いとか低地という意味らしい。
そのままだよ........。

バス停からほど近い、両サイドに様々なショップが並ぶ広い歩道は、
緩やかなカーブを描いた石畳の奇麗な道。
ブランド店が多いせいか、日本のショッピングモール的にも見えるけど、
やはり建物や街並みが「ホンモノ」なので、歴史を感じる。

何かバイクかデザインの雑誌でも無いかな?と、
一見小綺麗な本屋さんに入ってはみたものの、
ハードカバーの本が多くて、パラパラ見て歩く感じでは無い。
実際、日本のように立ち読みしている人も少ないし...。
店内の全体的な雰囲気や色合いは奇麗でゆったりしてるけど....。
まぁ、字が読めないから面倒なだけ...とも言える。

途中、イタリアの....いや、世界的なスーパーカーの王者とも言える、
ランボルギーニ社のディアブロがエンジンを止めずに路駐していた。
そう言えば、イタリアに来て初めてイタリアン・スーパーカーを見た。
(って、ランボルギーニは今、外国資本だけど....)
フェラーリすら一度も見てないかもしれない。
日本の方が多いんじゃ無いだろうか?
やはりディアブロクラスのスーパーカーは地元でも珍しいらしく、
周りは人通りの少ない場所だったが、それでも注目度が高い。
きっとクラッチが重いんだろう。少し動かすだけでもかなり回転を上げる。
その甲高いエキゾーストノートが、古い街並みに妙に似合ってる。

8時頃。飯を喰うところを探し始める....が、中々ピンと来ない。
そうだ。ホテルの1階(0階)がレストランテだったのを思い出す。
歩いていた中心地からホテルまで戻り、一応値段を確認し、
ほとんどお客の居ないそのレストランテに入ってみる。
駅前なのにこの人の少なさ。流行って無いんだろうか?

イタリア語の本を無くしてしまったので、
メニューを見ても料理の内容がいまいち解らない。
無難なところで、サラミとハムの盛り合わせと、
スパゲティ・ペスカトーレをトマト味で頼む。
そしてもちろん「Aqua con gas」。

店のウェイトレス、ウェイターは、珍しく若い男女が居る。
ウェイトレスは、ちょっと日本人っぽい感じもする顔立ち。
にこやかな表情をしていていい感じ。

盛り合わせが来る。
今までの経験から想像した通り、かなりボリュームがある。
特にそういう風には言わなかったけど、
どうやら盛り合わせを食べ終わるまでは、次を持ってこないようだ。
僕より後に来たお客にはどんどん料理が運ばれて行く....。
ゆっくり食べていたんだけど、なんとなく少しペースを早める。
しかし、相変わらずこのテの食材は、どこで喰っても美味い。

僕が店に来て20〜30分ほどしてから、どんどんお客が入り始める。
そっか。夕食の時間帯が微妙に違うんだ。
確かに外はまだ全然明るい。
時間とは関係無く、やっぱりお日様の影響を受けるのかな?
僕も昨日までは、夕食は毎晩暗くなる10時頃になってたし...。

店内が混み始めてからは、落ち着かない無い感じになって来たので、
最後に一応カプチーノを頼むが、早々に飲み干して部屋に引き上げる。
あぁ、パスタの味はそれなりに美味かったけど、特に感動無し...。
いや、日本のイタ飯屋ならこれで十分かも。
この数日だけで、微妙に舌が肥えたのかもしれない。
それほど高い店に入ってた訳じゃ無いのに....。

レセプションで、明日の朝、6時にタクシーを呼んで貰うように頼む。
が、部屋に戻り飛行機の時間を確認すると、6時半だった。
勘違いだ。6時にホテルを出たんじゃ間に合わん...。
あわててレセプションに戻り、5時に変更して貰う。
一応タクシー会社に確認をすると言うので、ちょっと待っている。
しかしタクシー会社が電話に出ないらしく、
確認が取れたら後で部屋に連絡を入れるとのこと。
「Grazie」とは言ったものの、(電話)と聞いて、微妙に緊張する...。

部屋に戻ると、程なく電話が掛かってくる。
「Pront?(もしもし)」
イタリアに来て、初めて自分の携帯以外の電話に出た(笑)
一応、心の準備をして電話を待っていたので、すんなり「Pront?」と言える。
相手の表情が見えないまま、適当な英語でやりとり出来るか心配だったけど、
まぁ、話題も決まっていたので普通にクリア。
5時にタクシーが来るので、4時50分にレセプションに来るように言われた。
「Grazie.」

さっき干していった洗濯ものは、既にほとんど乾いていた。
今まで、一晩干しても乾かない場合が多かったので、ちょっと不思議。
日が直接当たる部屋だったからかな?

イタリア入り3日目くらいから、毎晩シャワーを浴びずに寝てしまい、
朝、起きてからシャワーを浴びるのが日課になっていたんだけど、
さすがに明日は早朝出発なのでシャワーを浴びる余裕は無いかも....と、
眠くなってきた身体をがんばってバスルームに運ぶ。

で、見た目ちょっとお洒落な感じのシャワールーム。
シャワーが壁に固定式になっているので、微妙に身体が流しにくい。
身体全体にまんべんなくお湯が当たるように、
自分がシャワーに向かってクルクルまわるのは、面倒だ....。
やっぱりシャワーは自分で持って使える方式が良い。

TVを付け、適当に映画(ドラマ?)っぽいものを流しておく。
土砂崩れで田舎街が埋まってしまうパニックムービー系なんだけど、
あらゆるところが安っぽい出来。やっぱり映画じゃ無くてドラマか?
それにしても子供だましな感じだなぁ。
言葉が全然解らないけど、なんとなく内容は理解できる。
なんせちゃちで単純だから...。

ベッドに寝そべって日記を書きたかったのに、
コンセントがデスクの横にしか無くてiBookのACのケーブルが届かない。
とは言え、やっぱりデスクに座って書く気力が無い。
(TVもデスクに乗ってるし....)
仕方無いのでベッドをデスクの方まで動かす。
で、やっとこさ日記を書き始めた途端、
結局イタリア最後の夜も途中で堕ちる。

12時過ぎ頃かな?
7 Jun, 2005「HOTEL PIEMONTES」End.

ピア・ガブリエレの交差点からチッタ・アルタを望む。空は青いけど、日はかなり傾いている。夜7時頃。

「新市街」と言っても、こういう歴史のありそうな建物がゴロゴロしてる。

商店街(って言葉が似合わんなぁ)の歩道に停めてあった白バイ。これならきっと石畳の階段でも追っかけて行ける。しかしヘルメットも置いたまま、ご主人様は何処へ?

こんな歩道が数百m続き、様々なお店が並んでいる。この写真の手前(白バイのあたり)は、もう少し歩道が広く開けていたけど。

イタリア(フランスも)では、ほとんど見ない自飯機だけど、このタバコのは比較的見かけた。タバコのパッケージデザイン(ボタン兼用だけど)の表示が、日本と比べると異常に小さい。

まるで撮影のために置いた2台。古いポルシェに古いベスパ。古い建物の壁と石畳、売店とが程よくブレンド。

子供の頃のスーパーカーブームで、フェラーリ512BBと人気を二分したランボルギーニ・カウンタック。このディアブロはその末裔。但し会社はイタリアのものでは無くなった。

前菜のサラミと生ハムの盛り合わせが来たところ。美味そうでしょ?
しかしイタリアでの最後の晩餐なのに、メインの写真を取り忘れた....。

ついに、イタリア最後の夜になってしまった。気のせいか、駅の真ん前のホテルだと言うのに、ひっそりと寂しく見える。(実は明け方の写真なんだけど...)