4 Jun, 2005「ダ・ヴィンチ博物館」
■ミラノの日本人女性観光客。

『Museo Nazionale della Scienza e della Tecnica, Leonardo da Vinci』
が、この博物館の正式な名前。
16世紀に建てられた修道院を改装し、
ダ・ヴィンチの生誕500周年を記念して作られたそうで...。

入り口の窓口のかなり年配なおじさんに、
「Ticket, Uno, Quanto costa?」と、単語を並べて聞く。
(ちなみにイタリア語でチケットはbigliettoらしいけど、ticketで通じた)
すると、「Dove?」と聞かれるがその意味が解らず、
「Dove? What?」とオロオロしてたら、
面倒になったらしく7ユーロのチケットをくれた。
「Dove=どこ」
ということで、どうやら見るエリアでチケットの金額が違ったらしい。
このチケットがすべてを見れるチケットかどうか解らなかったけど、
とりあえず館内は全部見た(笑)

この博物館のことを良く知らなかったが、
なにやらダ・ヴィンチ以外の展示物もある....が、とにかくダ・ヴィンチだ。
天井が高く細長い空間に、
ダ・ヴィンチの書いたスケッチが模型となって展示されている。
その入り口には「最後の晩餐」のレプリカがある。
本物と同じ大きさ?
(後で本物の写真を見たら全然違った...ということは、これは何?)
この博物館からほんの200〜300mしか離れていない
「サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会」に、本物がある。
ただ、チケットを買うのに結構並ぶらしいことと、
予約も取れるがその方法が解らなかったので、今回本物は諦めた。

側を歩いて来た学芸員らしき女の子に「Take foto OK?」と聞く。
「No flash.」と言うことで、遠慮せずに写真を撮る。
元々フラッシュを焚くのは嫌いだ。
ただ、若干館内が暗いので手ブレに注意。

ダ・ヴィンチの分厚い作品集は持っているけど、
そのデッサンが模型になって立体として目の前にあると、
これはまた違う感動がある。
仕組みがよく解るというか、動きが想像できると言うか....。
歯車を使った仕組みの機械がとても多い。
ひとつの仕組みを思いつくと、応用したくなる気持ちが伝わってくる。
産業や生活に密着した考案が多いのが特徴。機械なんて無い時代...。
それと意外なのは武器の考案も結構多い。
やはり宮廷に仕える身ということで考えたのだろうか?
とにかくその範囲は多岐に渡る。
個人的には「最後の晩餐」のダ・ヴィンチより、こちらの方が好き。
500年も前にこんな仕組みばかり一生懸命考えていたこの人は、
やっぱり天才なんだろうと思った。

ダ・ヴィンチの展示物がある一角は、
それなりにゆっくり見たが30分くらいで見終わってしまう。
そこでなんとなく他の展示も見始めてから、やっと気づいた。
実はこの博物館は彼が考案した科学技術だけでは無く、
レオナルド・ダ・ヴィンチにちなみ、彼が活躍した16世紀以後の
イタリアの科学技術全体の歴史を展示する施設だった。
工業、自動車、鉄道、飛行機、船舶なんかのありとあらゆる展示物が
元修道院の美しい建物の中のあちこちに展示されている。
また、どうやらここの地下には16世紀以前の遺跡が眠っているらしく、
最下層の車の展示スペースの床下には、
遺跡が掘り起こされたままの形で展示(?)されていた。

いくつもの建物に別れた結構なスペースに、
時代時代の乗り物や機械の本物が展示されているのは、
まぁ、博物館なので当たり前なんだけど、
巨大な帆船が一隻、建物の中にまるごとあるのは参った。
マストの先端は遥か彼方の天井付近だし、喫水線以下は、地下...。

土曜日だと言うのに、
ほとんど人の居ない静かで雰囲気のある博物館をゆったりと歩いていると、
小さい頃、万世橋の交通博物館によく連れて行って貰ったことを思い出す。
あそこの建物もそれなりに古いし、古い乗り物が醸し出す雰囲気は同じだ。
僕はこの歳になってもやってることはまったく変らない...らしい。

博物館を出て、喉が乾いたので売店を探して歩いていたら、
結局地下鉄一駅区間歩いてしまい、ミラノ北駅に着いてしまう。

その途中、明らかに日本人観光客です!...という女性2人組が歩いていた。
この2人を後ろから見ていて思ったけど、
『日本人観光客は狙われやすい』
という理由が、なんとなく解ったような気がした。
きっとこの2人はスーツケースには沢山の着替えを持って来ているけど、
ショッピングや観光は荷物をホテルに預けられるので手ぶら。
なので、きっと日本で普段外出するときの普段の格好なんだろうと思う。
パンプスに綺麗な(ブランドモノ?)の洋服。
たぶん、東京都心のどこかで見るとまるで違和感は無いんだろうけど、
ここでは異様に感じてしまった。高尾山の遠足にスーツで来ている感じ。
(なんでだろう?ミラノだって街なのに....)
しかもやたらと高そうな格好に見える(ので金持ちに見える)。
特に周囲を気にする様子も無く、なんとなくのほほんと歩いている。
(そう見えるだけかもしれないし、二人だからかもしれない)
海外で綺麗な格好をしちゃいけない....とは思わないけど、
とにかく妙な違和感は感じた。

北駅の前の売店でオレンジジュースを買って、
ベンチに座って飲んでいたら、隣に子供が寄って来た。
パリでの経験もあったのでちょっと警戒してしまい、
リュックを身体に引き寄せたら、
子供は(気のせいかもしれないけど)ちょっと寂しい顔をして戻っていった。
その方向を追うと、母親は売店で買い物中....というだけだった。
冷静に見れば、どう見たってジプシーの子には見えん...。
少し疑った自分が悲しい。なんかゴメン。

たぶんトリノ行きは北駅からじゃ無いな...とは思ったけど、
一応チケット売り場で聞くと、「チェントラーレ(中央)」とのこと。
親切に地下鉄の切符を出そうとするので、さっき買った24時間券を見せて、
笑顔で「Grazie!」と言うと、窓口のおじさんも笑顔。
やっと少し、Grazieが口に馴染むようになってきた。

先ほどここで乗り換えた地下鉄2号線を今度は逆方向に乗り、
ミラノ・チェントラーレ駅へ。
朝と違って、少し車内も混んで来ていた。
と言っても、朝と比べて....というレベル。

10分そこそこで、中央駅に着いた。
4 Jun, 2005「ダ・ヴィンチ博物館」End.









レオナルド・ダ・ヴィンチ科学技術博物館。入り口に座っているのは日本人カップル。

窓口のおじさんが面倒になって売ってくれた、7euroのチケット。

ダ・ヴィンチ関連の展示物のある空間。これがまたイイ感じで...。

こんな風に彼のスケッチが模型となり展示されている。一番手前は、昔の全日空の翼のマークのモチーフになった「ヘリコプター」の模型。

誰でも知ってる「最後の晩餐」...の複製(実物大かな?)。

例えばこれはガラスを平滑に磨く機械。円盤が研磨石で、ガラスを押しつけるようにセットし、ハンドルをまわすとガラスの表面が平らに磨かれる仕組み。

中庭に面した回廊。時間が止まっているみたいだ。とにかく建物を見る...というか感じるだけでも気持ちが良い。

車輪の歴史。後にホイールとタイヤに...。大昔からデザインが施されている。

素晴らしくカッチョ良い木製フレームのチャリ。時代不明。

車のカットモデルの下には遺跡が(たぶん下水道とか)。

機関車なんかが広い室内にあるのは普通として...。

巨大な帆船が一隻まるごと建物内に...。写しきれん。

船の守り神の数々...だろうけど、微妙に不気味。

展示物?朽果てた工場?

上品に歩道に駐車...って。欧州で売れているランチアのイプシロンを良く見かけた(一番手前と2台奥)。

ミラノ北駅前の売店。カウンターに腰掛けてる子供が寄って来たとき、警戒してしまった。