■やっちまった...。

バスを降りてポルタ・ノヴァ駅構内のチケット売り場まで真っすぐ進む。
が、どうもそこはローカル線の売り場らしく、他の窓口へ。
でも、今回はさほど待たずに順番が来る。
窓口の鬚のおじさんに、フィレンツェに行きたいことを伝えると、
どうやらインテルシーティ（InterCityという特急）でピサまで行き、
そこで普通列車に乗り換えてフィレンツェまで行くそうだ。
指定席のチケットを出してくれ、ここが車両番号、ここが座席番号...と、
ペンで丸を付けながら説明してくれる。
「Grazie!」とお礼を言うと、
「Lust 5 minutes !」と、チケットに書かれた時刻を指差して言う。
「えぇ〜!!」
５分後に出発らしい....って言うか、
２〜３分進んでいるはずの僕の腕時計は、もう出発時間を過ぎてる。

でも、昼飯を喰って無いし、これから何時間も乗ることは解っていたので、
（知らなかったのは、InterCityには食堂車が連結されていたこと....）
慌ててミニ・スーパーのような構内のショップで、
サンドイッチと水を買ってホームに急ぐ....が、
既に列車の姿は無くなっていた。

ちょっと呆然とする。

気を取り直して、ホーム横にあった案内窓口で、
今のインテルシーティに乗り遅れたけど、このチケットは使えるのか？
と聞いてみる。窓口は中年の女性。
まず、チケットは使えるとのこと。ただし、指定券はパー。
次のピサ行きは丁度一時間後。

まぁ、仕方ないか....。

水と食べ物が無いまま、数時間乗る気にはなれなかったし、
（食堂車があるなんて想像もしなかったし）
まぁ、そもそも帰りのバス停を探すにもっと苦労していれば、
この時間にはまだ駅には居なかった。
特急料金はちょっと勿体無かったけど...。

さっさと気持ちを切り替え、ホーム手前のカフェでカプチーノを頼み、
そこでさっき買ったサンドイッチを食べながら、
iBookを開き日記を書き始める。

隣のおじさんは、なんだか僕の存在だか振る舞いだかが気になるらしく、
チラチラこちらを見る。
ちょっと声を掛けようかとも思ったんだけど、
いかにもガンコじじぃ....いや古風な紳士という風貌。
面倒でやめた。

１時間はさほど長く感じなかった。
次に乗る列車がホームに来たので、再度、先ほどの窓口で再確認。
今度は男の人。（さっきの女性も横に居る）
僕が再度チケットのことを訪ねると、隣で先ほどの女性が
「あぁ、さっきインテルシーティーに乗り遅れた日本人よ（想像）」
というような感じで横から何か言ってる。
今度の窓口の男性は、少し言うことが違う。
チケットは使えるは使えるが、
次の列車はインテルシーティでは無いから金額がトゥーマッチだと。
いや、それは乗り遅れたから仕方ないから....と言うと、
「次のインテルシーティはこっちだよ」と、
チケットに印刷されたもう一つの時刻を指差す。
へぇ。次の列車の時刻も入るんだ...。今、気づいた。
しかしその時間は、更に今から２時間後。
一瞬、あと２時間駅前をブラつくことが頭をよぎったが、
中途半端な時間だし、ちょっと疲れていたので、止める。
「いや、次の列車にこのチケットで乗れるなら、OKです」と、
伝わったかどうか解らない英語で言い、Grazieと挨拶。ホームに行く。

ホームには、金髪、ソバカスの可愛らしい女性の車掌さんが立っていた。
一応チケットを見せて確認すると、やはりお金が無駄だと言う。
「いや、仕方無いんで...」と伝えて列車に乗り込むが、
あまりにみんながトゥーマッチだと言うので、一度列車を降りて、
今、チケットを確認した可愛らしい車掌さんに、
後のインテルシーティに乗るのと、このＩＲ（普通列車）とでは、
どちらがフィレンツェ着が早いかを聞いてみる。
時刻表を調べてくれた......が、結局ピサからの電車は同じだと。
既に駅周辺を歩き回る気力は無かったし、
カフェにあと２時間座っている気もしなかったので、
長時間乗車を選ぶ...。

ＩＲは定刻通りに出発。
先ほどのリンゴットの横を通る。
さよならトリノ。